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「うまくいかないこと」を「成長する機会」にする
筆者だけでなく、読者の中には、「うまくいかないこと」を多く経験し、「自分は、本当にダメな人間だ。」「今まで何度もやったけれど、できなかった。よって、これから何回やっても、できるはずがない。もうムリ。」といった「あきらめ感」や「無力感」で苛まれたご経験はないでしょうか?
たった数回のうまくいかないことがあったとしても、「何でも」「いつも」と「一般化」してしまい、「あきらめ感」や「無力感」を助長させてしまったご経験はないでしょうか?
今回のブログでは、「うまくいかないこと」を「成長する機会」にする考え方(パラダイム)について、ご紹介したいと思います。
「うまくいかないこと」を「成長する機会」にする考え方
【結論】
(大前提) 自分自身が「その気」になり、「自ら変わろう」とするのであれば、
(Before) 「今の自分ではうまく対応できないこと」でも
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(After) 「これからは、もっとうまくいく可能性がある」
⇩
「これからは、もっと”成長”できる」
という考え方・パラダイムにシフトできる。
ここで、重要なことは、「その気になり、自ら変わろうとする」ということを自分で選択するということです。
すなわち、「うまくいかないこと」をどのように捉え、そのとき「どんな心」で「どういう態度」を取るかを自分自身で選択して決めるということです。なんでもかんでも、うまくいかないことを成長する機会に捉える必要はなく、自分自身で取捨選択して決めることが大事です。
事例
例えば、開業して間もない実績の乏しいコンサルタントが、いきなり顧客企業の職場に来て、顧客キーマンである部門責任者に「職場に何か問題ないですか?」と質問をすることにより、部門責任者を怒らせてしまい、受注獲得に失敗する≒「うまくいかないこと」が発生したものとします。
質問を受けた部門責任者にとっては、「自部門に問題がある」のは「自分自身のマネジメント力には問題がある」と捉えたのかもしれません。また、仮に何かしら問題があったものとすれば、問題解決のための情報収集・分析・解決策の検討の為に、現場が巻き込まれることを嫌がったのかもしれません。
では、コンサルタントは、どのような考え方をすればよかったのでしょうか。
【成長するための考え方】
(1)「今は悪くはない。もっと良くすることができる」という「心」や「態度」で接する。
(1´)「問題には興味はなく、興味があるのは成長するための機会」という「心」や「態度」で接する。
(2)「相手の重視する”価値観”」を把握して、相手の成長の機会を見つけ出す。
⇩
相手の成長を通じて、自分自身も成長を果たしてくいくという考え方を取り入れる。
例えば、以下のようなヒアリングであれば、良かったのかもしれません。
【効果的なヒアリングの一例】
「部長に、もう少し時間や余力があれば、どのようなことをしますか?」
「どのようなことをしていけば、売上目標は達成できそうですか?」
「目標を現状の2倍にしたいとした場合に、どのようなことをしたいと思いますか?」
「どのようなことをすれば、仕事を続けたいと思う社員を増やすことができると思いますか?」
「どのようにすれば、部下は頼りになると思うようになりますか?」
上記ヒアリング内容は、現状を否定したり、相手(部門責任者)を非難したり、批判したりするものではなく、これから成長するための機会に着目しています。現状を否定すると、「足りないこと」「満足できないこと」に焦点をあててしまいがちで、そうなってしまうとキリがないためです。
今の状況をより良くしていくためには、そして顧客とともに自分自身を成長させていくためには、「他責」ではなく、「自責」の意識のもとで、自らをより良い方向に変えていくことが、自分自身にも相手にもより良い影響を与えていくのではないかと思います。
【良い考え方の事例】
「今の状況は何をやってもダメ。」
→「自分に原因がある。」
(≒今の状況は、自分が作り出したものであり、自分の心・態度・行動に責任がある。)
→「自分の成長のために変わろうという気持ちさえあれば、自分を変えることができる。」
→「自分が変われば、今の状況を変えることができる。」
→「今の状況が変われば、自ら成長できる。」
→「自ら成長すれば、(周りも影響を受けて)周りも成長できる。」
【悪い考え方の事例】
「今の状況は何をやってもダメ。」
→「自分のせいではない、今の状況は、自分がつくりだしたものではない。」
→「自ら成長することも絶対ムリ。」
→「何もやらない。」
→「無力感、あきらめ感」
参考までに、ウィリアム・ジェイムズ(心理学者、哲学者)の言葉を紹介したいと思います。
「心」が変われば、「態度」が変わる。
「態度」が変われば、「行動」が変わる。
「行動」が変われば、「習慣」が変わる。
「習慣」が変われば、「人格」が変わる。
「人格」が変われば、「運命」が変わる。
「運命」が変われば、「人生」が変わる。
「成長」とは
ところで、「成長」とは、どんな意味になるのでしょうか?
辞書をひいてみると、「成長」とは「からだや心が育って、一人前の状態になること。」と定義されています。
■「成長」とは
「量的」な成長 「からだ」→大きくなる
「質的」な成長 「心」→整う
「量的」なものは、例えば、「企業」の場合には「売上高」「利益額」「株価」「企業価値」「従業員数」「事業所数」等であり、「個人」の場合には「収入・所得」「純資産」等であり、測定可能なものとなっています。
一方、「質的」なものは、測定困難なものであり、例えば、「働きやすさ」「やりがい」「幸福感」「安全・安心」「自己重要感」「充足感」等です。なお、「幸福感」は、①やってみよう力、②ありがとう力、③なんとかなる力、④ありのまま(自分らしさ)力などを高めていくとよいとの話があります。
今までの「企業」や「個人」は、「量的」な成長を追い求めてきたように思います。しかしながら、「量的」な成長のみを追い求めることは、必ずしも良いことであり、必要なことなのでしょうか?
私たち「人間のからだ」は、生まれて、すくすくと成長して大きくなり、ある程度の適正な大きさになると、成長は止まります。一方で、「人間の心」は、質的に成長し続けることが可能です。
自然界での「人間のからだや心」の成り立ちを考慮すると、これからの「企業」や「個人」においては、「量的」なモノ・コトは、適正な大きさまで達すると、成長スピードが鈍化する一方で、「質的」なモノ・コトは、自分自身が「その気」になり「自ら変わろう」とするのであれば、永遠に成長し続けていくのではないかと思います。
今後の企業経営は、「量的」な成長だけではなく、「質的」な成長をも重視する経営を目指していくことが求められるのではないかと思います。