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ビジネスを成功に導く「サーバント(奉仕型)リーダーシップ」
働き方改革の施行や、労働人口の減少から、現在は、個人の多様な価値観が重視されています。個人の多様な価値を最大限に活かし、企業の成長を図っていくためには、①上司と部下の関係性、②従業員同士の関係性、③支援先企業の経営者・従業員と外部パートナー(例:経営コンサルタント)の関係性などの様々な場面において、親密なコミュニケーションと信頼関係が欠かせません。
そこで、近年「理想的な関係構築のあり方」の一つとして「サーバントリーダーシップ」という考え方に注目が集まっています。
今回のブログ記事では、「サーバントリーダーシップ」とはいったい何かについて、サーバントリーダーシップに該当する「10の特性」と、「支配型リーダーシップ」との違いを含めて、解説します。
ぜひ、あなたのビジネス推進の成功にお役立ていただければ幸いです。
本ブログの対象となる読者
- ●部下とのコミュニケーションのズレを解消したい上司
- ●働きやすい職場づくり、組織風土を良くしていきたい経営者
- ●経営者・従業員と信頼関係を築きながら企業の成長や課題解決に貢献したい経営コンサルタント
「サーバント(奉仕型)リーダーシップ」とは
「サーバント(奉仕型)リーダーシップ」とは、信頼関係に基づくリーダーシップであり、『リーダーは、まず相手に「奉仕」し、次に相手を「導く」』という考え方で接していきます。一人一人を尊重・理解し、「指示して従える」のではなく、「奉仕して導いていきます」。
サーバント(servant)とは、「奉仕者」「使用人」の意味であり、サーバントリーダーシップにおけるリーダーとは、「相手に対する奉仕者」と考えるとわかりやすいと思います。相手の持てる能力(経験・スキル)を認め、引き出せるように奉仕することで、組織・チームの成長を促していきます。
その結果として、働きやすい職場づくりや、お互いの信頼関係の構築につながり、相手の主体的な行動と成長のみではなく、自分自身の成長にも繋げていきます。
一方で、「サーバントリーダーシップ」の対局の考え方に「支配型リーダーシップ」があります。
2つの違いについて見ていきます。
「支配型リーダーシップ」との違い
従来、企業には強い意志と発言力を持ち、部下を動かしチームを引っ張るようなリーダーシップが求められていました。そのためリーダーに求められるのは強い先導力や卓越した知識やスキルであり、サーバントリーダーシップとは対になる考え方でした。
「支配型リーダーシップ」では、自分と相手を「上下関係」で捉えて、相手を従え、相手に「指示・命令」を与えて、成果を生み出していくリーダーシップです。そのため、相手は自分の「指示・命令」に従い、「義務感」で業務をこなしていくことになります。リーダーが主体となるため、相手がリーダーに恐怖感を抱くことも多く、相手の能動的な行動と、自ら行動することで得られる成長を阻害してしまいます。日本で長く支持されてきたリーダーシップでもあります。
一方、「サーバントリーダーシップ」では、個人よりもチームとしての成果を重視します。相手の能力(経験・スキル等)を認知して引き出すような観察能力と誘引力が求められますが、重要なことは、相手の「目標や自己実現」を明確にして、相手の主体的な行動を促すことです。結果的に、チームとして同じ目標に進むため、仕事へのモチベーション維持や生産性向上につながる確率が高められます。
それでは、なぜ「サーバントリーダーシップ」が必要となるのか、その背景を紹介します。
なぜ「サーバントリーダーシップ」が必要なのか
支配型リーダーシップが主流であった日本で、サーバントリーダーシップが急速に広がり、求められている2つの理由を紹介します。
①多様な働き方の推進
サーバントリーダーシップが求められる背景には、多様な働き方の推進があります。
テレワークや裁量労働制のような働き方では、お互いが対面で、直接、顔を合わせる機会は少なくなります。自分は「相手が今、何をしているのか」を把握しづらくなり、相手も「今、何をしていいのか」「課題をどのように解決していいのか」を、すぐに相談できない場合があります。
サーバントリーダーシップでは、指示がなくとも、相手が自ら考えて行動する力が育まれます。一人一人に目が行き届かなくとも、仕事が回る環境が必要となってきています。
②デジタル技術の進歩
デジタル技術の進歩により、グローバル化や価値観の多様化が進んだことも、サーバントリーダーシップが求められる理由の一つです。
従来は、「支配型リーダーシップ」の考え方に基づき、的確で合理性のある「指示」に従っていさえすれば成果を創出することができました。多くの場合、上司の経験や体験に基づく「支配型リーダーシップ」が重視されていました。
しかし、現代では、従来の「支配型リーダーシップ」では解決できない課題が生まれてきています。
デジタル技術の進歩とともに、ビジネスのスピードが上がった現代社会では、一人一人に指示を出していては間に合いません。また、多くの人が実施してきた業務の一部は、機械に代替させるようになっており、より創造的で革新的なアイデアによるイノベーションが求められるようになっています。メンバー一人一人が、主体的に能動的に動かなければ、競合他社との競争にも、多様な顧客ニーズの変化にも対応できず、企業の生き残りが困難となってきています。そのため、サーバントリーダーシップが求められています。
「サーバントリーダーシップ」の「10の特長」
1.傾聴
傾聴とは、相手の立場でしっかり話を”聞く技術”です。相手が何を伝えたいのか、どう考えているのかを一つ一つ理解しながら話を聞いていきます。基本的には、聞き手に回り、相手の話をどう解釈したのか、自分の言葉で相手に確認していきます。「しっかり話を聞いて盛られている」という安心感から、より深く話をしてもらえるようになります。
2.共感
共感とは、相手の感情に焦点を当て、それを受け入れることです。ポイントは、相手と自分は違う人間であると理解することです。「自分にできることはほかの人にもできる」「周りはこうしているのに・・・」という考え方を捨てて、相手の能力や価値観を受け入れることが大切です。
3.気づき
気づきとは、物事の本質を見抜く力です。課題に気づき、本質を見抜くことで、より良い解決策を導き出します。自分の得た気づきを相手にも与え、さまざまな立場からの気づきを得ることが大切です。
4.癒し
どんな人でも、気分が落ち込むことはあります。仕事のミスや、プライベートでのトラブルを引きずっていては、モチベーションも上がりません。「奉仕」の役割を重視するサーバントリーダーシップでは、相手の心を癒すことで、やる気と本来の能力を引き出します。
5.納得
「上司に言われたからやる」「仕事だからやる」という動機は、好ましくありません。自らのビジョンや価値観、その仕事をする理由を相手に伝え、納得してもらう必要があります。
6.概念化
概念化とは、自らのビジョンや組織の最終目標を、わかりやすいイメージで伝えることです。その仕事をする意味や目的をわかりやすく伝え、納得してもらうためにも、概念化の力は大切です。相手の迷いはなくなり、主体的な行動ができるようになります。
7.先見力
先見力とは、現在の結果と過去の原因を結びつけるtこおで、未来を予測する力のことです。先見力を持ち、未来を予測しながら相手を導くことが大切です。先見力があれば、軌道修正や万が一のトラブルにも対処しやすくなります。
8.執事役
執事とは、自分ではなく、相手のニーズを満たすことに喜びを感じるものです。相手優先で考えたり、何でも教えるのではなく、相手の主体性に任せたり、一方引いた立ち回りが重要です。
9.人々の成長への関与
一人一人の資質を見抜き、それぞれに合った方法で成長を助けることです。全員を同じやり方で育てられるとは思わず、すべてを教えるのでもなく、それぞれの資質にあった方法で成長をサポートします。
10.コミュニティづくり
メンバー同士が協力し合い、それぞれを高め合える環境を作ることです。相手に気づきや納得を与え、主体性を持って働ける環境を整えることです。
「サーバントリーダーシップ」によって組織・チームが得られる効果
サーバントリーダーシップによって、組織・チーム全体の成長と目標達成が加速されます。サーバントリーダーシップによって、組織・チームが得られる効果を見ていきます。
1.メンバーの行動が変わる
メンバーの主体性を尊重し、仕事を”やらせる”のではなく、”任せる”ことで、信頼を集められます。「この人についていきたい」「この場所でもっと成長したい」と感じることで、自主的な行動と責任感を引き出せます。
2.コミュニケーションが円滑になる
共感し、メンバー同士が協力し合える環境をつくるサーバントリーダーシップでは、社内コミュニケーションが円滑になります。相手は「この人なら自分の話をしっかり聞いてくれる」と安心することで、今まで話せなかった悩みや、成長のための課題を話してくれるようになります。自主的に協力し合い、能力を高め合える風土が生まれます。
3.能動的に目標達成する
概念化により、明確なビジョンを示すサーバントリーダーシップでは、一人一人が組織・チームの目標を理解するようになります。目標を理解していれば、指示がなくても「目標達成のために今、何をすべきか?」を考えられるようになり、それぞれが能動的に行動できるようになります。
メンバーの話をよく聞き、サーバントリーダーシップをやってみよう
いかがでしたでしょうか?サーバントリーダーシップとは、一人一人の話に耳を傾け、それぞれの能力を認め、引き出し、能動的な行動と成長を促すリーダーシップです。
支配型リーダーシップが主流だった日本では、サーバントリーダーシップを取り入れようとしても、なかなかうまくいかないかもしれません。まずは、サーバントリーダーシップの10の特長の中から、取り入れやすそうなものを実践して頂くことをおすすめします。